今日は風が強かった。
風が強い日は何も出来ない。
人が、当たり前に何かを食べたり、普通に仕事をしたり、その場だけ明るく振る舞ったり、そういう社会性を昔は持っていなかったのに、いつのまにか自然と出来るようになっていたり、とはいえ家に帰ると澱のように溜まっているものを自覚したり、しなかったり、無表情のまま指先だけで来ているLINEを返して、また何かを食べたり、休みの日にどこかに行こうと思ったり、見返さない写真を撮ったり。また、簡単な言葉に慰められたり、慰めたり、すれ違って、別れて、街にはたくさん人が歩いていて、でもそれが全部個別の、全く違う人間で、歩き去った人の後からまた違う人が出てくるという事。それは見ていようが目をつぶろうが決して変わらないという事。
風が強い日はふとそういう事が恐ろしくて仕方がなくなる。
そういう事のいちいちが怖くて怖くて、仕方なくなる。